2019年2月20日

人工知能で美少女キャラを自動生成するサイトがすごい


アニメや漫画に出てきそうな女性キャラを自動で作成してくれるサイトを見つけたのでメモメモ…



つい最近話題になったのが、ニューラルネットワークの技術を使って「この世に存在しない人の顔を生成する」サイト thispersondoesnotexist.com。GAN(敵対的生成ネットワーク)というモデルを利用し、AIどうしが「画像作成役(出題者)」と「判定役(解答者)」に分かれてお互いに切磋琢磨しながら勝手に学習(「教師なし学習」)した結果、このような画像を作成できるまでになったそうです。この未来感、すごいですね…。

すべて実在しない顔

実はこの技術はStyleGANというシステムとしてすでにGitHubで公開されていて、詳しい実装方法からソースコードまで誰でも自由に閲覧することが可能になっています。そこで、さっそくこの技術を応用して様々な「自動生成」サイトが登場しているようです。


https://thiscatdoesnotexist.com/
http://thesecatsdonotexist.com/

たとえばこちらは猫の画像を生成するサイト。学習が中途半端なのか、結構な確率で気持ち悪いホラーのような画像が表示されます。

なんだこれ

で、今回たまたま海外の掲示板を見ていたときに紹介されていたのが thiswaifudoesnotexist.net。その名のとおり、waifu…つまりオタク用語でいうところの「嫁」を自動生成してくれるサイトです。上記の他のサービス同様、リロードするたびに異なる画像が表示されるようになっています(一定時間ごとに自動でリロードされます)。


これがなかなかよくできていて「この絵のタッチどこかで見た」というものから「これほんとに実在しないの?」と疑いたくなるようなものまで、クオリティは結構高めです。もちろん画像に少し「ゴミ」のようなものが残ってしまっているものや、何をどう間違ったのかホラー顔負けの画像になってしまっているものもあります。

夢に出てきそう

AIを利用した似たサービスだと MakeGirlsMoe が有名ですが、そちらに比べてモデルとなる絵のタッチのバリエーションが豊富で、かつ違和感(無理やり合成したときの汚れや歪み)が少ないように感じます。ただ、 MakeGirlsMoe のように髪型や目の色など細かい指定はできません。

単純に目の保養として眺めてもいいですし、自分で新しいキャラクターを作るときの参考資料としても使えるかもしれません。ただ心配なのは「もし著作権的にヤバめのものが紛れていても判断がつかない」ことですかね…。いくらアルゴリズムによる自動生成だといっても、ベースになる画像が割とはっきり現れていたりするので、もしかしたらきわどい画像があるかもしれません(一応 Google で画像検索して引っかからないことを確認していますが…)。また、現状では「AIによる創作物」に著作権は発生しないらしいのですが、今後どうなっていくかもわかりません。

いわゆる「データベース消費」の極みとも言えるこの技術…いったいどこまで行くのでしょう。




2019年2月26日 追記

いつの間にかキャラ画像に加え "Do Electric Neural Nets Dream Of Anime Shows?" (「電気ニューラルネットはアニメの夢を見るか?」)という項目が追加されており、なんとAIで自動作成されたアニメのプロットも表示されるようになっていました。

ためしにプロットをひとつ翻訳してみます。(原文をそのまま載せると Google からスパム扱いされそうで怖いので拙訳のみ掲載します)

 ジョウヤの顔面がことごとく破壊される、ジョウヤは次の"Lil"になって妹の運命を受け入れるほかないという思いに駆られ逃げ出してしまう。これはジュブナイル小説『ここにいたい、信じたくない』第一巻の内容と酷似しているものの、ストーリーや背景は刷新されており、私もまた逃げ出したくなる、それが自分勝手なことだとはわかっているが、まるでもとの小説のストーリーが「ここにいたい!」であるようなもので アニメ アイ ゴメン アリガトウ サヨナラ チガウ ダメ マドカ ジゴク… (意味のないアニメ関連単語の羅列が続く)。『あらいぐま少女』の続編である少女漫画ライトノベル『宇宙からの訪問者が俺の妹だったなんて』略して「うちゅいも」をもとにした刺激的でカワイイ新アニメシリーズが最新ヒットとなっている。このアニメの第一話では、ジョウヤの顔面がことごとく破壊される、ジョウヤは次の"Lil"になって…(以降、最後まで冒頭部分と同一の内容が続く)。

訳してみた感想としては

  • 文単体でみるとそこまで破綻はしていない
  • 一度出てきた語句が再び登場するなど、文章全体の作りもかなり「それっぽい」
  • ただし接続詞がほとんどなく、句読点の使い方もむちゃくちゃなので、文と文(節と節)の繋がりが非常に分かりにくい
  • 無意味な単語の羅列や同じ文章の繰り返しなど明らかにおかしい部分がある
  • アニメプロットというかアニメのレビューに近い内容?

…といった具合です。個々の文の質は高いのですが、なにぶん全体の流れがわかりにくいので、読んだ時の違和感を最小限にするためには接続詞を補う必要があります。あと時制がほぼすべて現在形だったことも相まって、夢日記や筒井康隆が書く狂った文章を読んでいるような、不思議な感覚を味わいました。

ちなみに「宇宙からの訪問者が俺の妹だったなんて」は原文では "I Can't Believe My Alien Visitor Is My Little Sister" で、略称は "MAVISM" になっています。略称も含めてあまりに「ありそう」だったので思わずググってしまいました…。「あらいぐま少女(原文 "Raccoon Girl")」もすごく良い線ついてますよね。プロットがいきなり顔面破壊から始まったり「少女漫画ライトノベル」とかいう謎のジャンルが登場するのもなかなか楽しいです。


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